水深400メートルを網で曳く
  
沖で操業中の重徳丸
 翌日の午前2時、倉津さんは所有する重徳丸12トンで、5人の乗組員とともに阿久根港を出港し、東シナ海の漁場へ向かいました。夜明けの1時間前、ポイントに到着すると、全員がてきぱきと動いて操業の準備をはじめました。
 漁法は打ち回し漁という一種の底曳網漁。
大漁に目を細める倉津澄孝漁労長
上から見ると菱形に漁船を旋回させ、菱形の左右にウキを打って全長5000メートルのロープを張ります。2個のウキの下にオモリとして70キロ前後のチェーンをぶら下げ、菱形の最後部に網を取り付けます。こうしておいて、重徳丸を菱形の先端につなぎ、約1ノットの速度で走らせて網を引きます。
 網を引くこと50分〜1時間で漁船を止め、 両舷に設置してある巻き上げ機で、ロープとチェーンと網を船上へ。 およそ400メートルの海底から引き上げた網を開くと、たくさんのヒゲナガエビが色鮮やかに船上を染め上げました。
「以前は日没まで操業していたけど、今は資源保護のため自主規制して、網入れ回数を制限しています。昼頃には港に向かいますので、約6時間の漁になりますね」
 と港に向かって舵を取る漁労長。大漁ということもあり、操業中の厳しい表情はすっかり消えていました。
獲ったヒゲナガエビをほかの魚と仕分けする
加工を待つ深海の宝物

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