タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

なんと7000キロの回遊

暗いうちからサケの水揚げが始まる
 サケ・マス類には、産卵時に河川を上る降海型と、一生を淡水で暮らす陸封型の二つのタイプがあります。降海型ではサケ、陸封型ではニジマスやイワナがよく知られています。つまり、サケとイワナは親戚なんですね。そのサケにはベニザケやギンザケなどいろいろありますが、単にサケと言えばシロザケのことです。
 天然のシロザケ(以下サケ)は川に生まれ、川を下って海洋を回遊し、多くは4年後に産卵のため生まれた
この日の羅臼はサケの大漁だった
川へもどってきます。サケのふ化・放流事業は、この「母川回帰」の習性を利用したもの。川にもどってきた親魚を捕獲、採卵・採精、受精、ふ化して、翌春に数センチまで育てた稚魚を川へ放流します。今では、われわれが食卓で見るサケの100パーセントが、この放流サケと言っていいでしょう。
 サケの回遊範囲は驚嘆に価します。日本の河川をスタートした稚魚は、北東太平洋、アリューシャン列島、ベーリング海、カムチャッカ半島東方の沖合い、北太平洋と移動しながら成長。さらに千島列島に沿って南下し、放流された川へ帰ってきます。その回遊距離は実に7000キロといわれます。

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CONTENT
なんと7000キロの回遊
定置網漁でサケの大漁
シロザケの若魚「ケイジ」
番屋でサケ料理のごちそう
サケ料理の紹介

取材:野村祐三