こまめな養殖作業が瀬棚のホタテの名を高める
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出荷のため水槽に移し、これから殻に付着した小貝や海草などを取り除く
  もちろん自然環境だけが、活力あるホタテガイを育てるわけでなく、養殖方法に工夫に工夫を重ねてきたことも見逃せません。直径30センチ、高さ20センチ前後の籠1個の中に、通常は12〜15枚のホタテガイを入れて、その籠を20段前後重ねて筏からつり下げます。斉藤漁業では1籠にホタテガイ7枚と少なくして、その籠を15段のみ重ねて筏から海中につり下げています。「密集を避けることで、活力のあるホタテを育てるため」(斉藤さん)です。
  また、栄養のある層にホタテガイをこまめにつるし変えることを怠りません。たとえば夏は浅めの7メートルにつるし、冬は波が大きくなるので深めの20メートルの深めにつるし変えるという作業です。また籠やホタテガイの掃除をこまめに行って、成長を早めることに余念がありません。
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水揚げしたホタテガイの殻をむき、成長具合を調べる
  斉藤漁業の平成3年の出荷は3キロ入りがたった70ケースでしたが、翌年には300ケース、翌々年は500ケースと年々急増して、平成12年度にはついに70トンの生産までに成長しました。瀬棚全体でも130トンの水揚げがありました。でも斉藤さんはこう断言すのです。「量を求めるのでなく、これからも活力あふれるホタテを育てていくことに徹する」。
  斉藤さんは檜山漁協の理事を務め、北海道漁業士会の会長でもあります。アワビ養殖にも取り組み、サケ定置網の経営に参加し、底建て網で周年ヒラメやアンコウ、ソイなどを狙っています。昨年は「漁師の工場」と命名した加工場を設けて、サケの山漬け、ホッケやソウハチカレイ、イクラなどを加工しています。管理生産が可能な漁業という斉藤さんの夢は、着々と現実のものになっています。
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獲る漁業から育てる漁業へ
台風による被害で3日間寝込んだことも
荒い海と速い潮と清流が絶品ホタテガイを育てる
こまめな養殖作業が瀬棚のホタテの名を高める
ホタテガイのさばき方
ホタテガイの漁師料理