タイトル写真提供 : 斉藤 高根氏

昭和60年に養殖を始める

 隠岐諸島は島根半島の沖合60キロメートルの日本海に浮かび、四つの有人島と180余りの無人島からなる群島型離島です。本土から前方にある島々は島前、後方にある島は島後と呼ばれています。周囲の日本海は屈指の好漁場で、天然ものはもちろんのこと、イワガキなどの養殖が盛んに水揚げされています。

 島前の三つの有人島の一つ、西ノ島で養殖されるヒオウギガイの人気が高まっています。イタヤガイ科の二枚貝は「南のホタテガイ」と呼ばれ、殻も貝柱もホタテガイによく似ています。赤、黄、橙、紫などカラフルな貝殻でよく知られ、稚貝の殻は格好の隠岐土産になっています。

 西ノ島の入り組んだ東海岸に赤ノ江(しゃくのえと読む)という集落があり、ここでヒオウギガイを育てているのが、浦郷漁協組合員の梶浦勝男さん。

「貝の養殖を始めたのは、昭和55年からだね。当初はイタヤガイを養殖していたが、その後水温が高くなってきて、イタヤガイの成長が悪くなってしまった。そこで昭和60年にヒオウギガイに変えたところ、隠岐の海がこの貝に合っていたんだろうね、よく育ちよるよ」

赤ノ江の海でヒオウギガイを水揚げ 今年は成長が順調だと梶脇さん 「隠岐産は身が締まってうまいよ」

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取材:野村祐三