クロカスベの大漁

水晶網のロープをゆるめて、いよいよ網上げ
 

朝4時半、遊佐さんのほか3人の漁師とともに網船へ乗り込みました。10分ほど走ると、海面から突き出ている8本の柱が見えてきました。「あれが水晶網です」と漁師の一人。上から見ると水晶みたいな形だから、この名があるのだといいます。


  驚いたことに、八角形の枠の中に漁船を乗り入れてしまいました。つまり、網の上に船を乗せたことになります。そうしてから、遊佐さんが横柱に飛び移り、網のロープをゆるめました。網を上げていくと、トビウオやイナダ、コノシロに混ざり、大きな黒い魚が網の中で悠々と泳いでいるではありませんか。「あれがナベユウだ!」と叫ぶなり、遊佐さんが長カギで引っかけてみごとにキャッチ。


  体長約60センチ、尾を含めれば90センチに達するでしょう。聞いていたとおりに背側が真っ黒。船上に上げると、グフーッグフーッとバリトンで鳴くのがいじましい。「尾にトゲがあるので気を付けて!」と遊佐さんの注意が飛んだ。刺されると素人では絶対に抜くことができず、医者に麻酔をかけて処理してもらうそうです。クロカスベをあなどるべからず。
  1時間ほどで網上げを終了。クロカスベ20尾の大漁でし。船着場にもどると、船上でクロカスベのヒレ部分だけを次々に包丁で切り取りました。料理にはヒレだけを利用するのです。

網を上げ始める。漁業の一番楽しいときだ この日は多くのトビウオが網にはいった クロカスベを長カギで引っかける

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