漁師のおかみさんのマダコ料理

 喜代美さんによる、マダコの薄造り刺身の作り方が愉快でした。最初に、包丁で頭から足を1本ずつ切り離します。そうまでされてもまだ生きているので、まな板に足の吸盤をぴったりと吸い付かせます。こうして足をしっかり固定し、指で皮をつまんで包丁ではぐようにして皮を切り取っていきます。「こうすると皮を引きやすいんですよ」。

薄作りの作り方@ 足の吸盤をまな板に 吸い付かせ、固定 してから皮を引く 薄作りの作り方A白い身を薄く引く マダコの薄作り

 刺身を作るとき、ぼくは皮をはぐのにいつも難儀していたので、その妙技に感心するばかり。マダコの強い生命力を利用した、漁師のおかみさんの知恵です。

姿ゆでの作り方。湯をわかし、下おろししたマダコの足から徐々に入れてゆでる マダコの姿ゆで。はさみで切りながらほおばる
炊き込みご飯の作り方。マダコを細かく切り、ニンジン、ゴボウ、シイタケ、コンニャクなどと醤油味で炊きあげる マダコの炊き込みご飯

 吸盤を残した薄造りは、コリコリという食感がよく、味わい深い味でした。さらに、姿ゆで、ゆでた肝と卵、から揚げ、炊き込みご飯と続いてマダコのフルコース。姿ゆではキッチンばさみで切り取りながらほおばるのが面白く、ゆでた肝の濃厚な味には、ビールがよく合いました。から揚げはさくっとした歯ごたえが楽しく、炊き込みご飯ではしみじみとした風味に感服しました。岡本さんは民宿「岡本屋」(рO879・62・1880)を兼業していますので、こうしたマダコ料理を気軽に楽しめます。

 岡本さんのマダコ漁は、5月から12月まで。

から揚げの作り方。薄く切った足にかたくり粉をまぶし、油で揚げる マダコのから揚げ マダコの肝と卵の
ゆでもの


-4-
戻る