ヒラマサ食ばなし

食材としてのヒラマサ
 ヒラマサはブリ属の魚で、一見素人にはブリにしか見えませんが、色調や姿の丸み、鰭の形、色相が違います。見た目は体の厚みがやや薄く、スマートに感じます。ブリと同様に回遊魚で、ブリの一群に相乗している事もあり、昔はブリ30匹にヒラマサ1匹、と言われてまぼろしに近い魚として大変な高価な魚でしたが、近年は生態も分かって養殖も盛んになりましたので身近に手に入る魚になりました。
 群れをなしている生息地はわが国では北海道以南、日本海側以南の本州、四国、九州で捕獲され、世界の海ではブリより南方海域に住み、珊瑚礁には殆ど生息していないそうです。
 味は殆どブリと同じ味ですが、両者を比べて生食すると歯ごたえの違いが分かります。(養殖物では分かり難いですね。)赤身の代表格で脂の載った滑らかさとこくがあります。食べ方は先ず生食の刺身です。そのままの盛り合わせ、煎り卵黄の黄金和え、とろろいものやまかけ、葱で巻いた砧巻きなど、ブリやマグロと同じように作り、たれにも変化をつけて楽しめます。握り鮨では高級魚種になります。脂の香りを立たせる為、表面に焼き串を当てたり、焼き霜作りにしたりも致します。吸い物では潮仕立てにして線野菜や大根おろしを加えて作りますが、船場汁とは一味違いますね。体の芯から暖まる汁物です。焼き物は塩焼きにして大根おろしにポン酢、薬味を添えたり、照り焼き、味噌漬け焼きにすると美味しいです。頭やカマの部分の塩焼きは兜焼きとして珍重されます。洋風にはオイル焼きにしてバルサミコ酢味ソースや赤ワインソースで食べるのも絶品です。煮物は一般的な煮つけ、味噌煮、大根との炊き合わせの他、ワイン煮、トマト煮も手早く煮上げると身も柔らかく洋野菜ともよく合います。塩味の酒蒸し、ホイル焼きも柑橘酢をかけて食べますとさっぱりとした味にさえも感じられます。最近の流行料理、しゃぶしゃぶも粋な食べ方ですよ。
 栄養面は何と言っても回遊魚の王者ですから、力を与えてくれるエネルギッシュな要素を持っております。必須アミノ酸揃いの蛋白質、多量のEPA、DHA、ビタミンD、Aなど。
 買う時は刺身用の柵取りか切り身が殆どですが、肉質や血合い肉が鮮赤色で艶があり、肉汁のにじみ出てないものを選びましょう。そして買ったらすぐに下ごしらえをする、その日の内に料理して食べる事が一番美味しくて、栄養価値も高いのです。万が一その日に料理をしなくなったら、強めの塩をまぶすか、生醤油に浸すか、味噌漬けにして当座(4〜5日)の内に食べましょう。
 因みに回遊魚の下味に使ったたれや漬物に使った床は食べる仕上げの味付けに使わないように致しましょう。仕上げは新たなたれを合わせて作りましょう。又、煮物や焼き物に使う生姜、にんにくは下味としては使わず、仕上げの薬味として使用する方が味、香り、効能の効き目を引き立ててくれます。



旬と産地

 
・ブリよりも南の近海で漁獲されます。
・産卵期は春




栄養〜ヒラマサに多く含まれる栄養と効能〜
 
栄養素
たんぱく質
多量のEPA、DHA
ビタミンD、A


〜これに効く!〜
EPAは余分な血の固まりを
溶かし、血液の流れをスムーズにする効果があります。
ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を促進する働きがあります。



おいしいヒラマサの見分け方
・肉質や血合い肉が鮮赤色で艶があり、肉汁のにじみ出てないものを選びましょう。
 
 



カマスの漁法
定置網
一本つり漁
刺し網漁
まき網漁




全漁連料理教室講師
このページは、全漁連料理教室講師の田口道子先生が旬の魚を使った調理法・料理をご紹介します。