日戻りガツオのおいしい理由

沿岸漁業主体の安良里には2トン未満の漁船が多い。
   船を走らせながら、山本さんは海面をにらむばかり。海鳥の群れとカツオのハネを見つけるためです。
「たくさんの海鳥が舞っていれば、その下の海中には小魚の群れと、それを追うカツオの群れがいる。漁師はその海鳥の群れを鳥山と呼ぶ。それと私らがハネと呼んでいる海面を跳ねるカツオ、これでもカツオの群れを発見できる」
 遠くに鳥山を発見した山本さんは、猛スピードで船を走らせ、海鳥が乱舞する中へ突っ込んでいきました。早くも2本のヒコーキが海面を跳ねて、カツオが同時に食ったことを知らせました。手早く魚を取り込み、仕掛けからはずして、また鳥山の中へ。
 釣り上げた魚の処理を見ていて、曳縄漁によるカツオがなぜ人気なのか、その一因を理解できました。元気に跳ねるカツオを海水のはいった容器に頭から入れ、まず血抜きをします。それから氷水のはいったクーラーへ。
沖から見た安良里漁港。

「こうして一本ずつていねいに扱い、それが釣ったその日に食卓に並ぶのだから、うまくないはずがない」
 と言いながら、山本さんは相変わらず海上をにらんでいました。


   




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CONTENT
曳縄漁法で沿岸のカツオを狙う
船を走らせながら仕掛けを流す
日戻りガツオのおいしい理由
魚を誘うアタマの輝き
郷土料理「まご茶」の醍醐味