オッパワカメで興味深いのは、地元で圧倒的に好まれ、そのほとんどが富浦町で消費されてしまうことです。よその人が手に入れるのは至難の技なのです。酒井さんによりますと、「以前は広く出回っていて、町の経済を左右するほど重要な産物だった。今は高価になりすぎて、このおいしさをよく知っている土地の人だけが食べている」。富浦町の人はワカメの味について、ことのほかうるさいのでしょう。


漁は2月初めから4月半ばまで

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オッパワカメやトサカノリを浜辺で拾う人たちも多い。
  オッパワカメの漁は例年だと2月初めに始まります。それから3月半ばまでの早い時期は、時化のあとに多田良西浜の海や浜に流れてくるオッパワカメを拾う漁法です。





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“かっと”でオッパワカメをひっかける。
  取材で訪れた日は運良く前日が時化で、オッパワカメが流れてきているとのこと。胴長とカッパを着込んだ酒井さんは、無造作に膝までの深さの海にはいっていき、なれた動作で“かっと”(浜のオッパワカメ漁には欠かせない漁具)と呼ぶ道具を使いだしました。かっとは長さ2メートルほどの竹竿の先端にクモの巣状の針金を取り付けてあり、空中を飛んでいるときの竹トンボに似ています。


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多田良西浜の隠れた名産
漁は2月初めから4月半ばまで
風味豊かな味噌汁にほれぼれ
オッパワカメの漁師料理