旬のお魚クッキング

〜ハマグリ〜

春はお魚だけではなく貝もおいしい季節です。ハマグリ、アサリ、サザエなど、この時期は貝の中いっぱいに身がつまっています。貝といえば潮干狩り。いよいよ本格的にシーズンインですね! たくさんとれたアサリやハマグリ、どうやって料理していますか? 

今回は貝の中でももっとも気品にも味にもすぐれたハマグリを使った料理を紹介しましょう。ハマグリは2枚貝の中でも、貝がらをバラバラにしてから2枚ずつ組み合わせるとき、不思議なほど他の貝とはまったく合いません。このことから、夫婦の契りのシンボルとして、昔から結婚式の料理にも用いられてきました。3月3日のひな祭りに、ハマグリを食べたことがある人も多いのではないでしょうか?

ハマグリは脂肪がほとんどなく、低カロリー食品です。しかし、たんぱく質は良質で、ビタミンやミネラルもかなりの補給になります。鉄分、ビタミンB2をとるのにピッタリの食品ですよ!また、蒸したり焼いたりしたときに出る白い汁はタウリンがいっぱい。肝臓にとってもいいんです。ハマグリはとれたてのよほど新鮮なもの以外は、生食できません。70度くらいの加熱をすれば安心して食べられますので、蓋さえ開けば貝の身は半生でも、安心しておいしく食べられます。
貝類はすべて“生きてるものを食え”と昔から言われています。これは自己消化といって生活環境が変わると、貝はまだ生きているのに体の中では一種の腐れ現象が起き始めます。そのため、人が食べても消化をせず、あたってお腹をこわしてしまいます。
それから貝にはたくさんの微生物が付着しています。そのため、貝の料理の下ごしらえは一にも二にもよく洗うこと!

通常に市販されているものは、砂をはかせて売られていますのが、潮干狩りのものなど、砂ぬきされていないに場合は、水の量に対して3%程度の塩を入れて、一晩寝かせてください。もしすぐに料理をしないときは、その後、貝が半分水から出るくらいに塩水を入れて冷暗所に置き、ふきんをかけておきましょう。パック詰めの場合は、パックのまま料理をするまで冷蔵しておきます。保存といっても長くできるわけではなく、1〜2日程度ですので、できるだけその日の内に料理するようにしてください!

殻の汚れではなく、貝からぬめりが出る貝がありますが、これは新鮮な証拠です!ただし、洗っても洗ってもぬめりが取れず、濁りや臭みがある場合は貝の鮮度が落ちています。手につけてひきのばしてみても糸をひくようでしたら、食べないでくださいね。



ハマグリ料理として挙げられるのがまず、ゆでるです。そのまま塩味で仕上げて「潮(うしお)汁」や「吸い物」になりますが、ベーコンや野菜をあわせた「クラムチャウダー」、トマト味に仕上げた「ブイヤベース」もおいしいですよ。ちなみにクラムチャウダーの“クラム”って、アサリではなくハマグリだってこと、ご存知でしたか?!クラムチャウダーや貝蒸しの場合は肝をとった方が、上品な味を楽しむことができます。

次はお酒で蒸すです。そのまま「酒蒸し」として薬味とたれで食べてもいいですし、身を外してむき身として「からしあえ」、「中華風蒸し物」「木の芽焼き」「黄身焼き」に応用することもできます。ハマグリがたくさんあるときは「ハマグリ鍋」や「ハマグリカレー」もオススメです。

最後にむき身を使って煮る(=佃煮)です。「時雨煮」という佃煮がありますが、これはハマグリが一番です!そのまま食べても、また、まぜごはんにしたり、番茶をかけてお茶漬けにしてもおいしいですよ。もしたくさん作った場合は、色あざやかな「ハマグリずし」を作ってみてはどうでしょうか?佃煮は冷蔵庫で1週間ほど日持ちしますが、時間が経ったときはもう1度火にかけるといいですよ。

新鮮なハマグリのそのままの潮の香りと味を楽しむなら、なんといっても「焼きハマグリ」でしょう。ハマグリは焼いたとき、火が当たっている方の殻が柱から外れ開きますので、下から火が当たるコンロやしちりんではなく、上から火が当たるロースターを使うと、焼き汁をこぼさないで焼くことができます!もちろんこの場合も身を外してむき身料理に使えます。焼いたハマグリをひと工夫した「変わり焼き」、洋風の「パエリア」にすれば、いつもと違うメニューのできあがりです。

さあ、口いっぱいに広がるハマグリの味を楽しんでください!


全漁連料理教室講師 田口道子先生
このページは、全漁連料理教室講師の田口道子先生が旬の魚を使った料理をご紹介します。