民宿のトコブシ料理に大満足
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ゆでたトコブシの刺身。
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手さぐり漁を見学したあと、鈴木さんが切り盛りする民宿「すず福」(рO558・22・1975)で、トコブシや小貝の料理を楽しみました。煮つけ、ゆでた刺身、野菜煮、蒸しもののトコブシ料理に加えて、サザエの壺焼き、シッタカのゆでもの、コゴという小貝のアシタバ和えなどがズラリ。こんな一色ならではの味覚を目の前にすれば、だれでも有頂天になってしまうでしょう。
「このほかには、トコブシで五目めしをよく作ります。お米といっしょにトコブシを炊き込んでもいいですし、ご飯とは別に醤油味で煮ておいて、あとで混ぜ合わせてもおいしいですよ。トコブシの独特な香りがして、私は大好きなんです」
と鈴木さん。トコブシの煮付けは、醤油と酒の煮汁で殻ごと煮てあります。思ったよりもやわらかく、ほかでは代え難いほのぼとした味です。刺身は磯に打ち寄せる潮の香りと、気のおけない滋味にあふれています。野菜煮は畑の幸との相性が絶妙で、トコブシの実力を再認識。
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トコブシの野菜煮。
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いろいろな小貝がまざった「磯もの」。
この味噌汁がうまい。
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トコブシ狙いの手さぐり漁には、磯ものという貴重なおまけがあります。
「ここの磯はトコブシのほかに、シッタカやニシ、ツボメ、セイ、そのほかの名前もないような小さな貝が豊富です。これを私たちは磯ものと呼んで、手さぐり漁ではこれも採るんですよ」
といいながら、鈴木さんが磯ものがてんこ盛りの味噌汁を持ってきてくれました。椀をのぞくと、今まで見たことのない、もちろん名も知らない小さな貝が殻ごとはいっています。そこからはふく郁たる磯の香りが立ちのぼって鼻先をなで、しきりに食欲を誘います。一口吸っただけで、雑多な生き物たちでなければ到底出しきれない味わいが、たちまち口中にあふれました。たとえようのないおいしさに、もうすっかり磯ものファンです。
一色のトコブシは4月から8月までが食べ頃。9月にはいると、トコブシの身がやせるため、手さぐり漁は行われません。
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