トコブシを手でさぐる

一色の手さぐり漁は女性ばかり。
    手さぐり漁の解禁日。一色の浜では用意万端ととのえた女性たちが、おしゃべりを楽しみながら潮の引くのを待っていました。みなさん上下のカッパに磯タビのスタイル。足元の竹籠には、ノミ、水中眼鏡、スカリ(網の袋)など、手さぐり漁必須の道具がそろっています。
 午後1時を過ぎる頃に潮が引くと、それまで水中に没していた岩礁と大小の石が露出しました。素人目にもトコブシの格好の生息場所であることがわかります。

大漁だと足どりも軽い。
大きなスカリの中には、トコブシや磯ものがぎっしり。
手さぐり漁の必須道具。水中メガネとスカリとノミ。

 スカリを腰に結んだ鈴木さんは、腰ほどの水深まではいっていくと、時には肩まで水面に沈めて、石の下や岩の穴を左手でさぐります。まさに手さぐり漁。トコブシを見つけたり、あるいは左手でさぐり当てると、右手に持ったノミではがして、すばやく左手で捕まえます。あるいは小さな岩や石をひっくり返しては、落ちたトコブシをキャッチ。まるで子供が遊んでいるかのように楽しそう。
 
  トコブシがぎっしりとはいったスカリを抱えて、満面の笑みを浮かべながら鈴木さんが浜にもどってきました。
「私は体が大きいので、人よりも腕が長くのびます。岩のすき間の奥にいるトコブシまで手が届いて、とっても有利なんですよ。手さぐり漁はトコブシと鬼ごっこしているようで、こんなおもしろい漁はほかにありません」
 と大漁にご満悦の鈴木さんでした。

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CONTENT
トコブシとアワビの見分け方
旧暦の15、16、17日が解禁日
トコブシを手でさぐる
トコブシ料理に大満足


「トコブシはアワビの子供で
はありません」と鈴木さん。
一人沖の磯へ向かう
手さぐり漁の女性。