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一色はアロエの産地としても知られる
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潮が引くと手さぐり漁が始まる。
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トコブシの名は、この小さな貝が石や岩の底(床)に殻を伏せていることに由来します。漢字では「床伏」と書きます。『本朝食鑑』という古書に「これはあわびの子であって、長じると大あわびになるとも、あるいはあわびの子でなく別の一種であるともいわれる」とあります。古人はアワビに酷似した正体不明のトコブシに悩んでいた様子です。あるいは、今でもトコブシがアワビの子供と思っている方もいるかもしれませんが、同じミミ貝科でも二つは別種です。
トコブシとアワビの見分け方がいくつかあります。アワビは殻の長さが約25センチまで成長しますが、トコブシの殻は大きくなっても、せいぜい長さ8センチ前後。アワビは殻の縁に並ぶ吸水孔が4〜5個で、管状(穴の周りが煙突のように突出している)です。トコブシは吸水孔が6〜9個と多く、穴がぽっかりと空いていて、管状ではありません。アワビの殻が比較的深いのにくらべて、トコブシの殻はやや偏平です。
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