船頭の腕前がものをいう
  
漁獲したシラスは氷で冷やした船倉に入れておく。
 シラス漁の網入れ時間は季節によってちがいますが、多くは午前4〜5時。網上げの時間は、その日の午前10時のことが多い。操業時間を少なくしているのは、資源保護が目的です。
 運搬船が魚群探知機でシラスを探しながら走り、2隻の網船に網を流す方向を指示します。シラスが網にいっぱいになると、前方に走っていた運搬船は網の後方へ回り込み、網を上げてシラスを船倉へ移します。網船1隻に1人ずつ、運搬船に4人というチームが多いようです。
 船頭の藤田さんは、運搬船に乗って指揮を取ります。船頭の腕前によって漁獲量に差が出るため、普段の切磋琢磨を怠りません。
「漁のない日でも漁船を出して、シロメの群れを探すことがある。そうしておくと、次の漁の目安になるからね」
 
「シラス漁のポイントは魚群を探し出すことに尽きる」と船頭の藤田さん。
翌日の午前11時、漁港で待っていますと、シラスを積んだ運搬船が次々にはいってきました。次々といっても、およそ20分間隔です。シラスは鮮度が命。漁船が一度にはいってきて、どっと入札所に並べれば、入札時間のあいだにシラスの鮮度がどんどん落ちてしまいます。鮮度保持のため、入港の時間をずらして順次入札を行っているのです。
 11時30分に第1回目の入札が始まりました。1籠(約35キロ)単位の一発勝負。入札で落とした人は、自分の札をシラスに突き立てて、ただちに加工場へ運びます。多くの加工場が漁港近くにあるのは、新鮮なうちにシラス干しに加工するためです。
 12時を回ったころ、やっと藤田さんの愛船・亀山丸が港に姿を見せました。「今日は外洋へ出てみたけど、26籠でまあまあの漁獲だったな」と船頭は満足そうな表情を浮かべていました。
家族の手を借りて水揚げ中の藤田さん。「今日の漁獲は26籠でまあまあかな」
はしけから荷捌き場までは、ベルトコンベアですみやかに運ばれる。
水揚げは漁師の家族が総出で手伝う。

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3隻の漁船でシラスを追う
船頭の腕前がものをいう
塩分3・5パーセントの甘塩
味で勝負のシラス干し!