2002年2月
輝く 南海の漁業基地
宮崎県日南市漁協


魚の宝庫を荒らすのは誰だ!
近海にマグロを追う
マグロ船主組合長 束元 勇一

 日南市の沖合いの海は魚の宝庫だ。毎年春から夏にかけてマグロの群れが回遊してくる。近くにはマグロの産卵場があるともいわれている。わたしらの先祖はチョロ船(手漕ぎ船)の時代からこの海でマグロを獲ってきた。父親から引き継いで40年、この海で暮らしてきた。去年、船を降りて、今は長男が船頭として船に乗っている。船の装備も良くなり、器械化も進んで、仕事は楽になった。しかし、ロボットがマグロを釣ってくれる時代は来ないと思う。釣り針にかかったマグロは、必ず釣れるものではない。「だまし釣り」と言うが糸のひき方でマグロの種類も大きさも分かる。魚の動きに合わせて船に引き寄せ、そして揚げる。この手加減は機械にはできない。 
 私たちは毎年このマグロを獲らせてもらって生活してきた。釣りや延縄(はえなわ)は資源を根こそぎ獲ることをしない。獲れない年には、それなりに値が上がって生活を保障してもらってきた。しかし、最近は、この理屈が通らないので困っている。
 回遊してくるマグロの量が目に見えて少なくなってきた。マグロの餌になる小魚が姿を消してしまったからだ。そしてその少ない小魚まで沖合いで獲ってしまうからだ。大型巻網の許可が下りて以来、この状態が続いている。
 さらに、海外からの輸入マグロの急増だ。魚価は安値のまま動かない。それに景気の低迷が追い討ちをかけて消費が伸びない。少しでもいい状態にして次の世代に伝統のマグロ漁を引き継ぎたいと頑張っている。



今年も春漁に期待して
近海マグロ漁船58繁栄丸 船主・船頭 稲田 繁男

マグロ水揚げの様子。
クレーンが無かった昔はもっと苦労した。
 今日の水揚げは13トン。日向灘の沖合いを2昼夜走った漁場だった。ねらい目のカジキやメバチが少なくて、トンボ(ビンナガマグロ)が多かった。まもなくこの沖合いにマグロが回遊してくる。クロマグロが釣れる春先が勝負だね。7月からは、漁場が三陸沖に移るので、正月までは宮城県の塩釜港が基地になる。半年はここに戻らない暮らしが続く。毎年がこの繰り返しで一年が終わる。
 漁師としては、やはり大物を獲ったときはうれしいね。350キロのマグロを釣ったときには、揚げるのに2時間もかかったよ。
 これから船をドックして来週には出漁だ。今年も1億円突破を目標に頑張るよ。



名古屋に翌日、築地には2日後
販売課長 荒武 義政

港にずらっと並べられた
種々のマグロ。盛漁期には港に
場所がなくなるほどに。
 このところ、カツオ・マグロ漁船は毎日入港するわけではありません。しかし、販売課の6人の職員は、毎朝5時出勤です。今朝のマグロ船の入港は、1隻でしたが、マグロを船から下ろすだけで3時間はかかります。春になるとこの岸壁一杯に漁船が並び水揚げを待ちます。壮観ですよ。ここに水揚げするのは、外来船が8割で、入札の後、消費地市場に出荷されます。名古屋に翌日、築地には2日後ですね。特にクロマグロは地元で消費されることはほとんどありません。
 刺網や定置網で獲られる磯物とは取引のやり方が違うのです。マグロ類は築地まで航空便で運ぶこともありますよ。今朝の水揚げは、合わせて、14.267トン、768万円でした。(1月22日)
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海魚は国民的資産です
海組合合併で、新たな浜づくりへ
海の宝庫を荒らすのは誰だ!
近海にマグロを追う
今年も春漁に期待して
名古屋に翌日、築地には2日後
浜の暮らしを支える資源管理
おいしい地魚を食卓に
賑わう朝市
名抜群の味 地魚加工
油津の庶民の味
〜カツオ料理〜